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【信州わかもの企業発掘隊】地域とともに、松本を日本の“Destination”へ。「株式会社 松本ホテル花月」
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こんにちは!外部ライターの<にし>です。
私は、塩尻市のNPO法人MEGURU・松本商工会議所が実施する「短期取材型インターンシップ」に参加し、企業の魅力を探るべく会社見学や社員さんへ取材を行ってきました。
今回紹介するのは、「株式会社松本ホテル花月」さん。今年で創業137周年を迎えられる歴史ある会社です。
経営者さん、社員さんはどのような思いを持っているのでしょうか。花月さんが歩んできた年月が感じられる落ち着きのある雰囲気や民芸家具に囲まれながら、お話を伺いました。
経営者さんに取材してきました!
はじまりは8部屋の”旅人宿”だった
事務取締役兼総支配人である松岡一成さんにお話を伺いました。
よろしくお願いします!
今年の7月で137周年を迎えられるということですが、その歴史の始まり・・・創業のきっかけというのはどのようなものだったのでしょうか。
元々は、菅沼家というこの周辺で槍の師範をしてた家系で、そこと結婚したのが松岡なんです。当時は8部屋の旅人宿として、松本城などを訪れる方を受け入れていました。それが少しずつ大きくなったという感じです。」
8部屋の旅人宿から花月さんの歴史は始まったんですね!
館内にある民芸家具は創業当初から取り入れられていたのですか?
5、60年前に、先先代が、 *池田三四郎さんとすごく仲が良くて、松本民芸家具を外の人たちに体験してもらいたいということで、1つ1つの家具を選んで取り入れています。また、色々な地域の民芸品や、そういったものも館内でお客様に体験してもらいたいということで、購入して並べています。
*池田三四郎さん…中央民藝の創始者。松本ホテル花月旧館は、池田氏が監修を手がけている。
来てくださるお客さまへの文化体験というものを重視されていたんですね。
そうですね、やはり松本にある宿ですので、この松本の文化や伝統を来たお客様に、しっかり体感していただくということがすごく大切だなと思っています。
ホテルの中で松本文化に触れられるのは嬉しいですね。また、実際に文化体験をすることでより思い出に残りやすくなる気がします。
先先代から民芸家具を取り入れた花月さん。今日まで取り入れ続けていらっしゃる理由は何でしょうか。その答えは、花月さんが大切にしている民藝精神にあるといいます。
花月が大切にする”民藝精神”は「民芸家具とおもてなしの結びつき」
松岡さんによると、民芸家具とホテルの考え方には共通点があるそう。その結びつきについて語ってくださいました。
民芸品は元々、 名前も知らないような職人さんたちが、私たち使い手1人1人に合ったものを徹底的に考えて1つずつ作られています。おもてなしをする際も、皆さんに同じサービスやおもてなしをしても、喜ぶ人も当然いますが、それに対して喜ばない人もいるんですね。 なので、1人1人お客様にあったおもてなしをするという民芸の考え方を弊社では基本的なベースにしています。 それが日本独特のおもてなしにも通じていきますので、 民芸の心、”民藝精神”というものをすごく大切にしているんです。
1人1人のお客様のことを考えるという点で、民藝精神と花月のおもてなし精神は共通していたんですね。
花月さんのこういった考えは、社内の様子からも伝わってきます。

ここにあるアメニティはお客様の要望を取り入れて揃えているのだとか。
施設設備からもお客様1人1人の声を大切にされていることが伝わります。
さらにお話を伺っていくと、松岡さんの”松本”という地に対する想いを知ることができました。
外のものを受け入れる”松本の文化
先ほど、松本の文化や伝統をお客様に体感していただきたいというお話がありましたが、松岡さんは松本の文化や魅力をどのように捉えられているのでしょうか。
松本という街は、外から来た人を皆さん受け入れるんですよね。そしてその人たちを歓迎して、一緒になって街を盛り上げているっていう、なかなか珍しい街だと思うんです。それが松本の文化であり魅力だと考えています。
なるほど、松本は外から来た人を受け入れるという文化を持っているんですね!その魅力をどうホテルに取り入れていらっしゃるのでしょうか。
弊社としては、日本各地の民芸品を手に届くところに置いて、実際に手に取っていただけるようにしています。それが”外のものを受け入れる”松本のいいところでもあるし、各地の文化を吸収して、さらにそれを松本の1つとして、お客様や来た人に体感していただけると思っています。そして、この松本の文化をホテルの中で味わっていただきたい、常にホテルにいる時に、『あ、自分松本にいるんだよな』という気持ちになってほしいと思っています。
たしかに、館内には松本民芸家具だけでない品もたくさんありますね。



民芸品は国内ばかりではなく、海外では「ミンゲイ」として親しまれているんですよ。
民芸品は世界中で注目されているんですね。
松本を日本の”destination”へ
ここまで、花月さんの歴史や現在行っている取り組みについて、松岡さんの思いも併せてお話を伺いました。では、ホテル花月の将来はどのように考えていらっしゃるのか、松岡さんにビジョンを伺ってみました。
唯一無二である日本のおもてなし文化や、松本文化をもっと世界の人に知ってもらいたいという思いがあります。今、インバウンドの人達が大勢来てくださっていますが、海外のお客様に対する取り組みをこの先もやり続けて、更に沢山の方々に花月に来てほしいです。そのために、日本のおもてなし文化・松本文化を世界に発信して、松本が海外の人の絶対的なdestinationになるようにしたい。弊社だけでなく、地域の人たちと一緒に、松本こそが 日本のdestinationになりうるエリアになれるように、少しでも力になりたいと考えています。
松本を日本のdestinationにするために、花月さんだけでなく、地域の方々と連携しながら松本のエリア全体の発展を目指されているんですね!
社員さんに取材してきました!
松岡さんの「松本を日本の”destination”へ」という言葉が印象的でした。そんな素敵な考えをお持ちの松岡さんですが、近くで働かれている方々はどのような想いを持たれているのでしょうか。次に、社員さんにお話を伺ってきました。フロント業務を担当されている入社1年目の河野さんです。
英語を使って、松本の魅力を伝えたかった!
河野さんが花月さんで働こうと思ったきっかけは何でしょうか。
元々英語が得意なのもあって、ホテル業に興味がありました。 お客様と関わるのも、 笑顔で対応したいという思いがあったので、ホテル業は自分に向いてるのかなと探し始めました。
元々松本に住んでいたので、松本の魅力を知っている人間としてどうやって伝えられるかなと思っていたら、松本ホテル花月を見つけて、ここなら自分のやりたいことができるのかなと。
自らの得意分野が活かせる会社だったんですね。英語力を活かす場はたくさんあると思いますが、なぜホテル業を選ばれたのですか。
自分が受けた接客ですごく良かったのがホテルで。海外で場所を聞こうと思ったんですけど、その時にすごく詳しく答えてくれて、ああ、すごい職業だなって思ったのが1番大きなきっかけですね。
実際に丁寧な接客を経験されたことがきっかけだったんですね!そうしてホテル業に勤められて、お客様に喜んでもらえる接客をするために河野さんが心がけていることはありますか。
そうですね。私はバイト経験がなくて、お客様と関わるのはほぼ初めてだったのですが、自分は笑顔があるなっていうのは昔から思ってたので、その強みを表に出して、お客様に不安な思いをさせないように、とできることを最大限やっております。
前向きな考え方が素敵です。しかし、はじめての接客というと、苦労されたこともあったのでしょうか。
そうですね。でも、大丈夫です。わからないことや困ったことがあっても、先輩たちが詳しく教えてくださっているので、特に苦労するということはなかったです。
周りの方々がサポートしてくださるのはとても心強く、素敵な職場ですね!
年齢差関係なく自然体で話せたり、プライベートな会話ができたりと、先輩とも良い関係を築けているそうです。
やりがいはお客様の喜ぶ姿
お仕事をされている中で、どんな場面でやりがいを感じますか。
そうですね、直接褒めていただいたり、 目の前で喜んでくれたりするところですね。その辺りは辛くなっても前向きになれる、やりがいを感じるところなのかなと思います。
直接意見をいただけるという点はフロント業務の魅力だと思いますし、実際にお褒めの言葉をいただけるのは嬉しいことですよね。
そうなんです。いつも、河野さんに会いたいから行きたい!って思ってもらえるような接客ができたら嬉しいです!
学生へのメッセージ
ここまで、素敵なお話を聞かせていただいたおふたりから、最後に、学生に向けてメッセージをいただきました。
これから社会に出る中で、1年くらいは、ちょっと辛いことも頑張ってみると思って働いてほしいです。私が社会に出て、最初に働いたところはすごく大変で、1番多かった時は180時間の残業がありました。でも、自分がちょっと辛いな、嫌だなと思うことを頑張ってやる時って、自分がまさに成長してる時なんですよね。楽なこととか楽しいことって、自分の成長にはあんまり影響ないんです。きっと1年後、絶対何か成長しているし、 それは目に見えて思うことだと思うので、自分のことを1番大切にはしてほしいんですけど、学生の皆さんには嫌なことも自分の成長だと思って頑張ってほしいです!
自分の体験として、大学の先生に積極的に聞いてみたり、実際に自分でイベントなどに参加したことで、わからなかったことがわかりました。特に企業のオンラインの説明会 をいっぱい受けたことは本当に得になったと思います。他の企業さんを知ることによって、松本の企業にももっと詳しくなったので全て実践してみるといいと思います。自分の魅力と照らし合わせてみて、 自分の納得できる職業が見つけらると良いと思うので、皆さん頑張ってください!
インタビューを終えて
今回の社内見学とお二人への取材を通して、花月さんが考えている松本の文化や魅力に触れる中で、松本という地に対する愛を強く感じました。また、それをお客様に伝えたいという熱い思いも伝わってきました。地域とともに松本を日本のdestinationにするため、ホテル内外で松本の文化の魅力を伝える花月さん。松本文化を伝える民藝家具はもちろん、働く方々の熱意や愛情がお客様に伝わっていることこそ、花月さんが長年松本のホテルとして選ばれている所以なのだと感じました。
松本ホテル花月様、今回は取材を受けてくださりありがとうございました。

※短期取材型インターンシップは令和5年関東経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業で実施しました。
企業情報
社名 | 株式会社松本ホテル花月 |
本社所在地 | 〒390-0874 長野県松本市大手4-8-9 |
会社設立年月 | 1887年7月 |
資本金 | |
社員数 | |
Webサイト | https://matsumotohotel-kagetsu.com/ |