長野県の学生向けお役立ち記事まとめ 【#信州わかもの企業発掘隊】時代の先を見据え、人の繋がりと生きていく会社。「株式会社サイクス」
【#信州わかもの企業発掘隊】時代の先を見据え、人の繋がりと生きていく会社。「株式会社サイクス」

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【#信州わかもの企業発掘隊】時代の先を見据え、人の繋がりと生きていく会社。「株式会社サイクス」

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こんにちは。ライターの友亮です。

今回私が紹介するのは、「株式会社サイクス」さん。

塩尻市のNPO法人MEGURU・松本商工会議所が実施する「短期取材型インターンシップ」に参加し、企業の魅力を探るべく会社見学や社員さんへ取材を行ってきました。

株式会社サイクスってどんな会社?

まず部長である青沼さんに会社としての経歴や主な業務についてお伺いしました。

2008年9月に創業して、今年で16年目です。16年のうちに3回場所を移して2012年から塩尻に工場をおいて、3つ目の工場が去年完成しました。創業当時は商社として始まったんですけれども様々な仕事を請け負っていくうちに仕事の幅が広がっていき、元々メーカーさんにお願いしていた業務まで自分たちで行うようになりました。

現在の業種としては各種省力機械の設計製作です。つまりこれまで人が行っていた単純作業を機械化するという業務を設計やプログラミング、搬入などまで医療の分野や自動車、食品まで幅広い分野で行っています。

青沼さんによるとこれまで【人が行わざるを得なかった単純作業】をロボットを使って自動化する業務を行っているようです。

これによって様々な業種、様々な企業で人手を他の場所に回すことが可能になり、現代社会の人手不足という問題にAI化や業務効率化という点で非常に寄与しています。

青沼さんとの工場見学

工場見学

話していても伝わりづらいと思うので、工場の見学に行きますか。

そうして案内されたのはサイクスさんが誇る3つの工場。

入った直後の印象としては【新築のとっても良い匂い】がするというものでした。

工場は綺麗で大きく、その中で多くの社員さんが働いていました。

聞けば社員さんたちは多くの作業項目を分担して行っているようで、それぞれの社員さんが自分にのみ任された様々な仕事に対して真摯に取り組んでいる様を伺うことができました。

主役のロボットはというと、想像していたよりも大きいものから小さいものまで非常に幅広く、自動化する内容も本当にそれぞれ違うことを再確認しました。

なかでも、大きいロボットにはロマンを感じずにはいられません。素早い動きとロボット特有のシューといった音とともに作業をこなしていき、圧倒的な効率化を実現しています。

また小さいからと言って侮ることができないロボットも数多くあり、人が近づくと自動で逃げて作業をするロボットや、人が風邪などのアクシデントで作業できなくなったとしてもその穴を埋めるアドリブ性を兼ね備えたロボットなど、その体のどこに機能が詰まっているのだろうか?と驚かされるものばかりでした。

経営者さんへの取材

栗林大作さん/代表取締役社長

会社のオフィスの一角から始まった、親友とのチャレンジ。

ではまず、創業のきっかけをお聞きしてもいいでしょうか?

県内の高校を卒業した後、商社に長年勤めていました。
そんな中、自分自身は人と話したり繋がりを持つことがすごく好きで大切に感じていて、それを今度はもっと自分でやってみたい。自分の力を試してみたい。という気持ちが大きかったです。
そんな中、兄弟ともいえる親友に,違う事業だけれども一緒にスタートを切らないか?という提案があり、新しく会社を立ち上げるに至りました。

なるほど。何と言いますか、まるでドラマのような始まり方ですね。
凄く綺麗で夢のあるお話に聞こえます。

というものの最初は今の立派な会社からは考えられない程小さな会社だったそうで…

本当に起業当時は岡谷にある工業を取り扱っている会社のオフィスの一角を借りて商社としての業務を行っていました。その時にお世話になったオフィスを借りた会社の経理を担当していたのが今の部長で(青沼さん)いわばナンパのように会社に入ってもらいました(笑)

ナンパですか(笑)
本当に最初はご苦労なさって立ち上げた会社だったんですね。起業当初は商社としての活動ばかりのように感じますが、現在の商社+メーカーという形にたどりついたのはなぜだったんでしょうか?

自分が起業してすぐにリーマンショックが起こりました。それが4年ほどたったらまた景気が回復してきてそれに伴って他の商社としての会社も勢いを取り戻してきました。
当然自分たちの仕事が奪われていくのであって、そんな中このままでは会社としても大きくならないし逆にしぼんでいってしまうと感じました。
そんな中部長と相談を重ねて今度は自分たちがメーカーになろう。と思い至りました。

常に変化、進化させていく。

ここまでは起業から現在に至るまでの【過去】をお聞きしましたが逆に急速に変化する時代に対しての【未来】についてお聞きしてもいいでしょうか?

まずは人が集まらなければならない。魅力がないといけない。会社としての未来がなければ社員は集まるどころか辞めていってしまうし。今の社員はみんなが面白い発想を持っていてそれを実現したりする事で会社を常に変化、進化させていく必要があると思っています。

その最たる例が社員さんへの投資のようです。

サイクスさんでは新しい機会を買うという事よりも社員さんに積極的に研修を行ったり、資格を取るということに重点を置いているようです。

社長は多くの業務を積極的に社員さんに任せており、近年の業績増加に繋がっており、それが回り回って社員さんの驚異的な賃金上昇に繋がっているようです。

そんな中でも社長としての目標は100年続く企業だそうで。

目指すは100年企業。
企業として残る割合は10年で6.3%、20年は0.39%。
20年30年続くだけでも奇跡のような確率です。
今は16年目ですけれども目下の目標として次は20年、その次は30年。けれどもやっぱり大きな目標として100年続く企業にしたいです。特に今の時代はAIが進化して色々な会社が出来ることの幅が広がっているのでその1歩先を提案出来る会社にならないとと。

ではこれは凄く難しい質問になると思うんですが、栗林さんにとっての【はたらく】とはなんでしょうか?

それは【使命】であり【自分に対する挑戦】です。
まず社長という立場であるからこそ従業員とその家族を守らなければならない。というのがありますね。
社員が結婚します。子どもが生まれます。家を建てます。って時に自分に自信が持てなくてこの会社で本当にいいのか?と思いました。そうなってきたときに絶対にこの会社を守らなければならないっていう使命です。

また会社を守るというだけでなく社員さんが、その家族が胸を張ることができるいい企業にしなければならないと語る栗林社長。失敗できないからこそ自分に対しての挑戦でもあると言います。

よく失敗してもいい。また次があると言いますが、1回ダメになったらもうこの後相手にされなくなってしまう。信頼を失ってしまう。失敗するんじゃないかと思われてしまう。
みんなの運命、人生、未来を預かっているからこそ失敗できないと思うし、なにより自分に対する挑戦でもあります。

栗林さんはご家族がいらっしゃいますが、天災が起こった時にでも会社に行って守らないと行けないという言葉に大きな決意を感じました。

何とかします。

これまで働いてきて一番嬉しいこと、嬉しかったこと、心に残っていることを教えてください。

やっぱり【ものづくりは長野県だね】っと褒めてくださったことや、若手社員が悔しくて涙しながらも頑張っている姿を見ると嬉しいですよね

しかしそんな中でも一番嬉しいことは【頼られること】だそうです。

創業してすぐにリーマンショックが起こってしまって、世の中がおかしくなってしまって様々な業種でいろんな企業が姿を消して行きました。つまりそんな企業が担っていた部分が消えてしまうんですよね。そんな中、その穴を埋めるために「なんとかお願いできないか?」「力を貸してくれないか?」とお客さんに頼まれて、でも答えられることは「何とかします。」だけで。

そうやって乗り越えた激動の時代。でも景気が回復してくるとその頑張り、実績は切っても切れない人との繋がりと信頼を生んでいきました。

『サイクスさんなら何とかしてくれる。』という信頼。自分たちを頼ってくれる。また自分たちが危機に陥ったら助けてくれる人がいる。というのがとても嬉しい

このお話は会社の経営理念【崇高な精神と矜持のもと 修練を積み重ね 企業と人との縁を結い 新しき価値の創造に 絶え間なく挑む】にも大きく反映されているように感じました。

また、お話から社長の考え方と人柄がこの会社を大きくしていった一番の理由だと感じることができました。

「遊べ」「楽しいことを。やりたいことを。」

最後の質問になるのですが、この記事を閲覧する高校生や大学生。これから就職していく学生に向けてのメッセージを伺えますでしょうか?

遊べって言いたくなりますね(笑)
今の子って就職しやすいとかの理由で大学に行くけれど、それ自体はとてもいいことだけれどもそれで本当にやりたいことができるの?って思います。
やりたくない部署に飛ばされたりっていうのは可哀そうだなって。
でもまずは自分の性格ややりたいことを理解すること。」
「仕事っていうのは誰かの役に立つこと。それを理解して責任と自覚をシッカリ持ったうえで。せっかく1度きりの人生。自分のやりたいことを、楽しいことをやっていって欲しいです。

社員さんへの取材

武居翔映さん/入社3年目

次にサイクスさんで働く若手社員さんにお話を聞きました  

幅広い業界を取り扱う仕事に惹かれた

はじめにこの会社【サイクス】との出会いと入社のきっかけを教えて頂けますか?

塩尻の高校で総合学科に所属していて在学中はずっと漠然と公務員になりたいと思っていました。

そんな武居さんに訪れた転機は、高校在学時の学校行事【ものづくりフェア】だったそうです。

【ものづくりフェア】でこのサイクスという会社を知りました。
この会社は業種という点でも商社からメーカーまでをもやっていていい意味で他の企業とは違う。取り扱う内容一つとっても色々な業界の仕事を請け負う訳で、毎回毎回案件が変わる。つまり毎回毎回違う知識を得ることができるんですよね。そこに凄く惹かれて入社したいと強く思いました。

でも元々公務員志望だったということは高校時代は今の仕事内容とはかなり違うことを学んでいたのではないでしょうか?

もちろんそうです。高校3年生の時は自分の興味がある授業だけを取れたので理系の知識なんて全くなかったです。でも父親に相談して、【自分のやりたいことならいいんじゃないか?】と背中を押して貰ったことで大きな一歩を踏み出すことができました。

これは本当に難しい質問になるとは思うんですけれど武居さんにとって【はたらく】とはなんでしょうか?

簡単に行ってしまえば【生きること】ですよね。責任をもって働いて会社に利益をもたらして、それに見合ったお金を頂いている。働かなくても生きていける人はいるけれど自分は働いていて楽しいですし、自分のためでもある。
それって結局【生きること】ということだと思います。

非常に責任感があって社会人として流石だな。と思いますがそんな武居さんは大学生の方が凄いと感じるようです。

自分は勉強が好きではなくて早くに社会に出たけれど結局はみんなが社会に出て40年程度働く訳でちょっと早く働きだしたとしか思っていないし特別視なんかはしていません。

楽しい時は、仕事をしている時。

では1番楽しいときはどんな時なんでしょうか?

楽しいときか(笑)。
でも本当に仕事をしているときは楽しいです。どんな装置、どんな仕事をしていてもゴールが決められていてそれに対して時間を迫られているという緊張感や不安などはありますが、毎回毎回の仕事で新しい発見があって、それが新しい知識になっていって。
確かに辛いことも悔しいこともあるけれど、わからないことが、わかるようになるって、嬉しいじゃないですか
そうやって仕事をすること、働くことって楽しいなと思うようになりました

仕事が楽しいという武居さん。そのなかでも1番やりがいを感じるのはやはり仕事をやり切ったときのようです。

自分は装置の電気関係の仕事をしていて、でもそれは最後に通電してみないとミスがわからないんですよね。
もちろん問題は出てくるのでそのたびに修正を重ねますが最終的に無事に動いているのを見ると【ああ、やりきったんだな】という実感が湧きますし嬉しいです

「嫌なことに踏み込むこと。その先に見える景色がある。開ける道がある。」

ではこれで最後の質問になりますが、今後社会に出てくる学生に向けてメッセージをいただけますでしょうか?

今私は21歳なので同年代で大学に行っている人も多いんですけれど、【働いているから偉い。大学に行っているから偉い。ではない】と思います。みんなが最初は同じような道を歩んでいてそれが色々な選択と決断の中で分岐していっただけで、結局はみんな働くというマジョリティに集まってくる。なので結局みんな平等でどこまでもフェアなんだと思います

そうお話してくださった上で、社会人としての立場、目線でアドバイスを頂きました。

就職して、働いて。自分は結婚していますが、そうやってより一層頑張らないといけなくなってくると思います。そんな中で当たり前だけれども嫌なこと、逃げだしたくなることも出てくる。それは仕事上のミスかもしれないし、はたまた色々な世代の人がいるからこそのジェネレーションギャップなどの人間関係のズレかもしれないけれど、でもそれが普通になってきてしまうと思います。
嫌だから、やりたくないからやらない。逃げる。ではなくてやってこそ見える景色が必ずあります。やった分は確実に自分の糧になってくるし、それは社会に限らず高校、大学、学校生活でもきっとあると思います。
辛い道を自分で進むからこそ見えてくる道があると考えて欲しいです。

感動とあとがき

株式会社サイクスさんとは、

【人材不足の時代にロボットを駆使して自動化を進めることで様々な業界に進化をもたらしている会社】です。

社長の栗林さんは創業して直ぐ、リーマンショックという大変な世の中を乗り越え、常に人と人との繋がりを大切にしながらも責任感をもって会社を変革し続けています。

そんな社長のもとには優秀な社員さんたちがおり、責任や期待に応える為に日々努力して、楽しみながらもお仕事をしています。

その結果は実際にサイクスさん自体の業績にも影響し、社員さんたちにも還元されてゆく

そんな壮絶な過去と社長や社員さんたちの姿を見聞きして間違いなく今後も勢いが衰えることを知らない企業に進化していくのだろうと肌で感じることができました

今回の取材を通して思ったのは【本当にいい会社だな。】ということでした。

なかでも一番感動したことは社長の「仕事などでも楽しいことをしてほしい」というメッセージに対して社員さんが「今の仕事は楽しい」とおっしゃっていたことでした。

その瞬間、このインタビューの解像度がぐっとあがり、サイクスさんではみんなが同じ方向を向いて、問題意識をもって、責任をもって仕事をしているんだなと実感しました

大企業に行ってやりたいことができる?自分に本当に刺さった言葉です。

サイクスだからこそ、やりたいことを、楽しいことをやっている皆さんであり、そんな企業である。

だからこそ出来ることが沢山ある。

だからこそ次のステップに進化できる。

間違いなく未来ある企業になると確信しました。

この記事を読んで株式会社サイクスさんの魅力の一部でも伝われば幸いです。

またサイクスさんに興味を持ったならば是非一度、戸を叩いてみてください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

※短期取材型インターンシップは令和5年関東経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業で実施しました。

企業情報

社名株式会社サイクス
本社所在地〒399-6462長野県塩尻市洗馬2925-1
会社設立年月2008年9月
資本金500万円
社員数29名(2023年10月1日現在)
Webサイトhttps://sics-inc.com/

この記事を書いた人

中谷友亮